老人ホームの一人一人に合った選び方をご提案
自分の親が入居する老人ホーム(介護施設)を検討されるということは、
両親が二人健在で、二人一緒に入居する場合、一人だけが入居する場合と
片親が亡くなられて、一人で入居される場合があると思います。
自分たちと同居できればいいのだけれど、介護の面などで無理を感じられているのではないでしょうか。
近所の老人ホームをチェックしてみるのは当然として、ネットで調べるといくつかの介護施設検索サービスがあって、エリアや施設の種類を選択することで、候補となる施設を絞り込み、実際に見学してみて気に入ったところに決めるという方法が思い浮かびます。
一見、良さそうな方法ですが、落とし穴がたくさんあります。
実際、入居後、気にいらなくて施設を変更するというケースがとても多いのです。
ここでは、老人ホーム選びに失敗しないためのチェックポイントを施設の現状に沿って、ご説明していきます。
Ⅰ.入居希望の要件を整理する
1.夫婦での入居か、一人での入居か
夫婦で一緒に入居できる老人ホームは、限定されます。
高価な施設が多く、マンションの購入と同様のコストがかかる場合があります。
マンションにケアのサービスがついている形ですが、ケアの内容・程度をチェックする必要があります。また、夫婦のいずれかに入院が必要になった場合、認知症になった場合、片方が亡くなった場合の対応などをチェックする必要があります。
二人部屋が少ないために、一人部屋が二つという場合もありえます。それが隣同士でない場合もありえます。夫婦のコミュニケーションが減り、生活のリズムも変わるため、いいことではありません。
一人だけが入居し、もう一人が老人ホームに通うのも大変です。
自宅に住み続け、訪問ケアを充実させる方がいい場合も少なくないと思われます。
訪問介護の内容はケアマネージャーの仕事ですが、まかせておけば大丈夫と必ずしもいえない場合もあります。
2.要介護度はどうか
要介護度の認定は、市区町村への申請、認定員による訪問調査&主治医の意見書、コンピュータ判定、介護認定調査会による審査、結果通知の手順で行われます。
申請からの期間はおおむね30日以内です。
訪問調査では、ありのままの状況を具体的に伝えることが望まれます。家族や近親者が必ず同席してください。
要介護度は施設に入る際の重要な判断基準となります。
支給限度額(原則1割は自己負担、一部に2割3割負担あり)をみると、要支援1が50,030円、要支援2が104,730円、要介護1が166,920円、要介護2が196,160円、要介護3が269,310円、要介護4が308,060円、要介護5が360,650円となっています。
施設にとって、体制・収入に影響があり、施設によっては入居を断られる場合があります。
一般的に、要介護度が3以上になると特別養護老人ホームが入居可能となります。
ちなみに要介護度3とは、食事や排せつに一部介助が必要。立ち上がりや片足の立位保持などが一人ではできない。入浴や衣服の着脱に全面的介助が必要。いくつかの問題行動や理解の低下がみられる。といった状態です。
施設に入った後の認定見直しで提供されるサービスが大きく変わることもあります。
3.認知症かどうか
認知症は年齢とともに、誰もがなる可能性の高い症状です。
認知症と認定される前の状態(MCI 軽度認知症障害)で、入居する介護施設の検討を始められることをおススメします。
なぜなら、認知症はなってしまうと改善が難しい場合が多く、周囲とのトラブルの頻度が増え、介護が難しい場合が多いからです。
早い方ではMCIの状態から、半年以下の短い期間で認知症になってしまいます。
MCIのチェック方法
・いつもよりぼんやりしてる
・趣味の集まりにあまり行かない
・出不精になった
・一日座ったらほぼ動かない
・身だしなみに気を使わなくなった
・笑顔が少なくなった
・物忘れをよくする
・食欲がなくなった
・好きなテレビや本を見なくなった
・ため息をつくことが多くなった
・料理の味付けが変わった
・部屋が雑然としてる
・ゴミがたまってる
・家の中であまり活発に動かない
・同じものがいくつも買い置きしてある
・財布の中に小銭が多く入っている
認知症というと、グループホームを入居先にと思いますが、特別養護老人ホームと同じで先ずは、住所登録のある地域で空きがある場合となり、中々狭き門になります。
認知症を受け入れる施設が最近増えてきました。
しかし、認知症の改善に力を入れている老人ホームはまだ数は少なく、老人ホームに入居することによって、かえって進行する事例も少なくありません。
認知症の悪化は、コミュニケーションが減ることが一つの要因であると思われます。
4.外出の自由
外出の選択は施設や介護度によって大きく左右されます。
近くを散歩できないと、運動不足になりますし、気分転換も難しくなります。
しかし、物忘れが進み判断力が低下するにつれ、迷子になったり、事故に遭う危険性が高まるため、有料老人ホームや特別養護老人ホームではほとんど自由には出入りできません。
家族が来て、一緒に外出する場合にも届け出が必要です。
セキュリティの厳格な施設では自分の部屋のあるフロアー以外に行くことも管理されます。
一方で、重度な介護度になっても専門の旅行介助や外出介助も行っている団体があります。
サービスを受けてみてはいかがでしょうか。
介助を得ることによって、家族との旅行や、外出しての食事などは、生きがいにもなり、想い出作りのためにも重要です。
5.医療依存度
老人ホーム入居の際に聞き落としがちなのがこの項目です。
まず24時間ナース滞在の施設でなければ、介護度が進み、医療行為が24時間必要になると退所を告げられる可能性があります。
かといって24時間ナース滞在と安心していても、医療行為によっては同様に退所しなければならない可能性が出てきます。
老人ホームのグループに対応可能な老人ホームがあって、そちらに移ることができる場合もありますが、単独の施設ではそれはかないません。
人の身体は悪くなったり、改善する場合もありますが、その度に家族が呼ばれ判断を迫られます。
先ずは老人ホーム入居の際は、何ができて何ができないのか?
老人ホームに相談する場合はどうしたら良いのか?などきちんと聞いておくべきでしょう。
Ⅱ.本人にとっていごこちがいいかどうか
6.声がけ、コミュニケーション頻度
老人ホーム(介護施設)の入居者数はバラバラですが、100名の施設だと介護・看護職員は35~40名が目安になります。
実際は事務員や掃除担当者、非常勤スタッフがいるので、施設を訪問すると遥に少ない感じがします。
フロア数、入居者数によっても感じ方が違ってくるものです。
入居者同士だけでは意外に会話が少ないものです。
食事やレクリエーションのときに静かなのは不安になりますよね。声がけの様子は重要なチェック項目です。
声掛けやコミュニケーションが短時間であったり、難しい状況である事が現実です。
声がけの多い施設は安心できる施設といえます。入居者の表情も違っています。
7.食事
前もって入居の際に聞かれますので、好き嫌いを家族や周りの人が把握しておきましょう。
高齢者の方もアレルギーがあったり、薬の飲み合わせでとってはいけない食品もあります。
老人ホームでは、パンかごはんの選択や和食/洋食が選択できる場合がほとんどです。
老人ホーム内で調理せず、外部委託しているケースが多いと思われます。
口に合うかどうか、入居前に試してみましょう。
まずいと思うと、ずっと不満が残ってしまいます。
8.時間の過ごし方
在宅介護中のデイケア施設に行った際やショートステイ先では比較的時間が決められていて、カリキュラム通りに過ごしていきますが、老人ホームに入ると食事時間と入浴時間以外はかなりのウエイトで本人のペースで過ごすことになります。
老人ホーム内でイベントや体操などを定期的に開催しますが、強制参加ではなく部屋にいようと思えばほとんど部屋で過ごすようになります。
コミュニケーションが減ることで、考え方がマイナス思考になったり、不安が多くなり、家族にしてみると、『余計な事ばかり考えて・・・』とか『いちいち面倒な事ばかり言って・・・』となります。
40代、50代の方の24時間と高齢者の方の24時間、ましては施設にいると更に時間の流れ方が全く違うという事は理解してあげることが必要です。
Ⅲ.将来の不安
9.医者の訪問
在宅介護の間はできるだけかかりつけの医師を決めておくのが良いです。
しかし施設に入所すると、かかりつけの医師が施設に往診に来てくれる近い場所ならば良いですが、今住んでいる住所より遠方の施設に入居する事が多いものです。
施設に入ると、施設と提携したクリニックによる往診が基本月に2回で、他に希望すれば訪問歯科も受診できます。
しかし、今は看取りをする施設も増えてきており終末期になると訪問は増やして貰えます。
施設内に看護師がいる場合には、連携したケアを受けることができます。
ただし、あくまでもクリニックなので手術や高熱、緊急処置が必要な場合は、提携先の大病院に搬送されます。
10.認知症ケア
認知症についてはグループホームという施設の対応が有効です。
しかし空きが中々ないため、今は老人ホームが認知症の受け入れの中心になっています。
認知症に詳しいクリニック会話やケアに慣れていることがポイントです。
認知症の受け入れをしていない老人ホームもあり、その場合は認知症になると退所させらるので、注意が必要です。
また認知症自体がまだまだ不明な部分が多く、各老人ホームの対応方法や介護基準はバラバラです。
ご家族や周りの方が納得のできる施設へのご入居をお勧めします。
11.寝たきり
寝たきりになるという事は要介護度がかなり高いか、終末期に近い状態になるという事になります。
そうなると家族は色々な決断を迫れたり、施設と病院を行き来しなくてはいけなくなります。
その時にどこに任せるか? どこまで治療をするのか?など事前に話し合いをしておくのも必要になってきます。
ただ、人の死のゴールは中々見えないのが現実です。
少しでも迷惑をかけないようにするならば、生命保険や残しておいた預貯金を相続する家族がきちんと把握できるようにしておく必要があります。
親が元気なうちに、よく相談しておきましょう。
12.リハビリ
リハビリに関してはほとんどの施設では週に数回程度の体操や簡単な機能回復訓練で、専門家である理学療法士や作業療法士によるリハビリを行うことは難しいといえます。
しかし、一度入院すると退院後のリハビリを行わないかぎり、身体はどんどん弱っていきます。
誤嚥性肺炎にもなりやすくなります。歯科医や専門の歯科衛生士の指導を受けた介護士がいる施設では、歯磨きをサポートしてもらえます。
施設にたよらず、リハビリセンターやデイケアに積極的に通うのも一つの方法です。
13.看取り
3,4年前までは10%未満だった介護施設での看取りだが、ここ最近ではかなりの割合で多くなってきました。
老人ホームでの看取りの取り組みと知識の向上もありますが、一番の要因は、延命治療の意思表示が明確化された事と無駄な治療をやらなくなった事です。
施設に入所すると、家族が一緒のときに、延命治療をするかしないか確認を求められるケースが多くなりました。
行政は在宅介護を進めていますが、家庭構造や死の場面が家庭に無いことなどから、今後は老人ホームが看取りの現場になっていく事でしょう。
14.遺品整理
遺品整理に関しては思ったより金額が掛かるという声が多いです。
もし老人ホームに入っているとしたら、ご逝去後にお部屋の片づけと遺品整理の2回の片付けが発生します。
そのため、生前の内から少しずつ不要なものを片付けておけば、いざという時に対応ができます。
また、遺品整理となるとまだ心の整理がつかず悲しみの再来や出来ない自分を責めたりという事も起きます。
本当に大事な物だけを残すのは難しいですが、元気なうちの少しずつの身じまいが残された人たちには心の救いにもなります。
15.葬儀
老人ホームでなくなった場合も病院と同じで、先ずはどこに搬送するかになります。
その後、葬儀社との打ち合わせになります。
ここで大事なのは、『葬儀は誰のためにやるのか・・・?』
故人が希望する形で行うのが一番ですが、それでトラブルになるケースは沢山あります。
死に関することはなかなか話してもらいにくいものですが、やはり元気なうちに親と相談しておきましょう。
Ⅳ.その他
16.自立支援介護
現在の国の介護に関する考え方は、自立支援介護により老人ホームへの依存度を減らす方向にあります。
老人ホームは介護が必要になってから、死までの期間を過ごすところではなく、介護の必要度を改善し、自宅での介護に戻すことのできた老人ホームの収入を増やすように、国はしくみを変えています。
自立支援介護とは、「水分摂取、栄養、自然排便、運動」の重要性に着目し、ご本人の体調を整え、活動性を上げることで体力を回復し、意欲や活力を取り戻すことを基本精神とする自立を支える介護です。「単なるお世話型の介護」から「自立支援介護」へと大きく変わりつつあります。
主な取り組みとして、食事の常食化、毎日1500mlの水分補給、おむつは使わず排便はトイレで、高齢者筋力向上トレーニングなどといった取り組みが、一部の先進的な介護施設で進められています。
17.老人ホームの経営状況
介護にかけられる国の予算は限られており、介護士の収入は増えていかないのが実情です。
介護士を確保できない施設が増えているのは事実です。
個々の収入を増やすか、収入が少なくても満足度が高い職場にするかしか解決策はありません。
要介護度によって、支給限度額は決まっており、デイケアを併設する、要介護度によって複数の施設を経営する、訪問介護ステーションをグループの中で運営するといった経営を行わない限り、生き残れない時代といえます。
入所者の満足度の高い施設は、働く介護士の満足度の高い施設でもあります。
自立支援介護に取り組み、入所者と介護士のコミュニケーションが行き届き、笑顔の多い施設、改善した入居者の退所によって新しい入居者を常に確保していく施設がこれから生き残っていくことでしょう。
老人ホームの選択にあって、働く人の満足度が高く、やめる人の少ない定着率の高い老人ホームを選ぶことが重要ではないでしょうか。
18.介護施設検索サービスの問題点
介護施設紹介サイトはいくつかありますが、そのほとんどが紹介した老人ホームからの紹介料によって運営がなされています。
その結果、紹介を必要としない優良老人ホームは紹介されないという矛盾を抱えています。
数多い老人ホームの現状をすべて把握するのは、大変難しい作業です。
近くの老人ホームをリスト化し、すべて把握したうえで、個々のニーズに合った老人ホームを一緒に探していく。
一定の同行料をいただき、一緒に老人ホームを訪問することで、漏れのないチェックを行うことが、これからの紹介ビジネスの形といえるのではないでしょうか。
LMN代表 遠藤ひできさん
19.LMNの老人ホーム探しサポート
LMNの老人ホーム探しサポートの特徴
LMNの老人ホーム探しサポートでは、特定の介護施設からの紹介料を一切いただいていません。
だから、お客様にぴったりの施設を選ぶことができます。
施設選択を間違うと、入居すぐに施設に馴染めず退所することもあり、その場合、大きな金額の無駄が生じかねません。
選ぶ際の優先順位についての最優先は費用かもしれませんが、エリアの選定も重要な項目です。
遠いと、どうしても訪ねてきてくれる回数が減りがちになってしまう事、介護が長期化すると介護する側も年をとっていくので、車や電車で60分以内の立地が望まれます。
介護する人たちの自宅近くがおススメ(子どもや孫と会う頻度が多くなる)です。
LMNでは専属の担当相談員が対応させていただきます。
1.まず希望エリアを設定していただきます。
2.LMN専属の担当相談員が子どもの自宅近くの地域包括センターなどで情報や資料を集めるとともに、介護施設に求める条件を整理します。
LMN独自のアンケートにお答えいただきます。1日じっくりご相談します。
3.担当相談員が空き情報確認や見学依頼を施設へ電話します。
4.3件程度に絞り、一緒に訪問し、独自のチェックリストでチェックし、ベストの施設を一緒にセレクトします。
上記内容にて、コンサルティング・見学・契約同行で7万円(消費税別)+交通費などの実費で対応いたします。
できるだけ近親者の方の参加をお願いします。