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​家族信託の検討時期と

契約書に記載する内容

日本庭園

【家族信託はいつ検討するのがよいか】

ここでは、主に恒例の親の福祉と相続を視野に入れた福祉型の家族信託について記載します。

実際には、福祉型信託以外にも、先祖代々の不動産を守るためとか、事業承継対策とか、家族信託の用途はたくさんあります。

  1. 家業を行っていた両親が引退したとき、両親が完全な年金生活になったとき

  2. 親が高齢者を狙った詐欺の被害にあったとき、心配になったとき

  3. 親の介護が必要になったとき、元気がなくなったとき

  4. 親自身が、財産がどれだけあるか心配になったとき

  5. 親の物忘れがひどくなったとき(認知症になる前に)

  6. 子どもの一人が完全な年金生活になったとき

  7. 親が遺言を書く気配がなくて、遺産配分をどうするのか心配なとき

  8. 親が遺言書を作成したいと言ったとき

1.家業を行っていた両親が引退したとき、両親が完全な年金生活になったとき

家業の跡継ぎを明確にしても、その他の財産をどうするかを決めて、子どもたちや配偶者に知らせることが大切です。今まで稼いでいた方が完全な年金生活になったときも同様です。

エンディングノートを書こうと思うのは、この時期が多いようです。エンディングノートを書くことで、老後の生活設計が明確になってきますし、自分の意思で判断できなくなる可能性にも気づきます。

介護や老人ホームにかかる費用、エンディングにかかる費用を除いた費用のうち、子どもたちに配分する費用がどうなるのか、明確にするには家族信託の仕組みを活用することが望まれます。介護施設に入るとき、入院生活になるときも、誰が中心になってお金の問題に対応するかをはっきりさせておくことが望まれます。

なぜなら、子どもたちや配偶者の合意を、契約により明確にしておくことで、もめごとや対応の遅れを防ぐことができるからです。

2.親が高齢者を狙った詐欺の被害にあったとき、心配になったとき

老後のために用意していた財産が大きく減ってしまったり、無くなってしまう事態は、その財産を将来引き継ぐ子どもたちにとっても一大事です。

介護施設に入居する費用や入院費用が足らなくなると、結果的に子どもたちが面倒を見ないといけなくなるからです。

家族信託による子どもたちを含めた契約を結べば、子どもたちのいずれかの管理する口座に変更することで、そういったリスクを防止することができます。そうすれば、詐欺の被害により、親が勝手にお金をおろしてしまう心配が無くなります。

金融機関にとっても重要なテーマですので、金融機関から親子への働きかけが望まれます。

3.親の介護が必要になったとき、元気がなくなったとき

子どもたちの誰かが親と同居することが難しい場合が多くあります。親の介護が必要になったとき、元気がなくなったとき、老人ホームへの入居が必要になりますが、急に決めようと思っても、なかなかうまくいきません。

早めの対応が望まれます。要介護認定を受けたときなど、老人ホームの検討を開始すべきでしょう。

特に一人親で、一人暮らしの場合には、元気なうちはいいのですが、入院したり、元気がなくなったときは心配です。家族信託の契約により、子どもたちが同意して、親の生活をしっかりと支えていくことが望まれます。

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4.親自身が、財産がどれだけあるか心配になったとき

夫婦の片方が亡くなったとき、そうでなくても複数の金融資産、不動産がある場合など、所在がわからなくなって、将来への不安が高まることは十分にありえます。

そんなときには、子どもも一緒になって調べてあげる必要が生じます。親子が一緒に今後のことを相談する機会ができるわけで、家族信託契約という形で今後のことを決めてはいかがでしょうか。

安心することができるようになります。

5.親の物忘れがひどくなったとき(認知症になる前に)

認知症になる前にはMCI(軽度認知障害)という状態があり、物忘れが気になってから、MCI、認知症へとゆるやかに進行していきます。なかなか病院に行きたがらないケースが多いのが実情です。

物忘れがひどいなと思ったら、子どもたちの間で相談し、これからのこと、施設入所や介護について方針を立てて、親と相談することが望まれます。財産管理を含め、家族信託の早めの検討が望まれます

6.子どもが自身の将来設計に不安を感じたとき

子供にとって、自分の将来が心配になったとき、親が一定の財産を持っているケースでは、相続を待つのではなく、早期に財産分与を受けられるよう、親と相談したいと思うはずです。子どもが複数いる場合では、家族でよく相談し、親の将来の生活を第一に、余った分を契約によって、贈与を含め、子どもの将来への不安を少なくすることが望まれます。

7.親が遺言を書く気配がなくて、遺産配分をどうするのか心配なとき

遺言が無い状態では、子どもの中の誰が介護をするか、判断が躊躇されることがあります。

遺言の存在と関係なく、手厚い介護をされる方ももちろんいらっしゃいますが、亡くなるまでに財産分与の話を一切しないことは、不安を感じさせないとは限りません。

また、遺言があるといっても、親の心変わりでいつ変更されるかわからないという不安が残ります。

家族信託契約を結ぶことで、不安なく介護をしてもらうことも、大切なことではないでしょうか。

8.親が遺言書を作成したいと言ったとき

親は遺言をなかなか書きたがらないものですが、遺言を作成することを子どもに言ったときは、家族信託契約を結ぶにもふさわしい時期といえます。

子どもと合意のうえで、財産分けだけではなく、介護や葬儀のことなども決めることができ、もめごとを防ぐことができることを伝え、家族信託という方法があることを、親に伝えてはいかがでしょうか。

これらをまとめたものが家族信託契約書となります。

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【家族信託契約書に記載する内容】

家族信託契約がないと、親(委託者)が所有する預貯金等金融資産も不動産も親の財産管理をしてくれる子供等(受託者)が管理できません。

契約を結ぶことはとても重要です。

家族ごとに契約内容は千差万別であることを、まずご理解ください。

家族信託は契約なので、遺産配分については、子どもの先まで決めることができます。何のためにお金を使うかも指定できます。

また、親よりも子どもが先に亡くなることがありうるわけで、その場合に子どもの配偶者に財産が移行するように取り決めることも可能です(贈与税の問題はあります)。

家族信託の契約は契約条項に記載した方法でしか変更できないので、親子全員が安心できると思います。

遺言でその内容が変更されることもありませんし、遺言は一番新しいものだけが有効となることから、遺言の内容が変更になってしまう心配もありません。

遺言が無い状態が長く続くと、子どもの中の誰が介護をするかの判断が遅れたり、亡くなるまでに財産分与がどうなるかわからない状態では、不安を抱えることで心からの介護ができないおそれがあります。

生前贈与についても信託契約に記載することが可能ですので、介護にかかわる心理的負担を減らすことができます。

.公正証書

家族信託はその効力を明確にするため、公証役場で公正証書を作成することが必要となります。司法書士や行政書士によって手続きが進められることが多いです。

.登場人物

家族信託はその効力を明確にするため、公証役場で公正証書を作成することが必要となります。司法書士や行政書士によって手続きが進められることが多いです。

委託者は高齢者の親。受託者は高齢者の子どものいづれか一人、配偶者、孫、兄弟姉妹、おい・めいなど。

受託者が財産を勝手に処分できるのではなく、信託目的にしたがい、財産を安全に、少ないリスクで管理運用します(善管注意義務)。

受益者の利益を守るために受益者代理人を置く場合、受託者の不正を監督する信託監督人を置く場合があります。

当初は委託者である高齢者の親が受益者ですが、親の亡き後は相続人となる子どもが後継受益者となります。

信託目的はあくまで財産管理のためであり、子どもが先に亡くなった場合にも、その配偶者が後継受益者として引き継がせることが可能で、その場合、親が後継受益者を勝手に変更できません。

.信託目的

高齢者の親の財産管理体制を整えること、何より親の生活のための費用をまかなうこと(老人ホームの費用など)が、福祉型信託では主な目的とされます。

将来の遺産相続によるもめごとを防止するのも目的の一つです。

具体的に、高齢の親が亡くなった以降についても、例えば孫の進学の費用にあてる、障害者である子、孫のための介護費用にあてるといった記載も可能です。

家族信託用語.png

.信託財産

金融資産、不動産などを目録で掲載します。

家族信託契約によって、所有権が委託者から受託者に移転します。

その際、家族信託財産であることがわかるように、金融資産は、銀行での信託口座開設により受託者が口座名義人に、不動産は法務局での信託登記により、所有者が受託者に変更になります。

.信託契約の解除・変更、追加信託

この契約書で定めた内容を変更するには、合意が必要です。勝手に変更できませんし、ましてや契約を無しにすることはできません。

契約を交わした時点ではわからなかった財産等を、委託者と受託者が協議のうえ、後から対象に加えることもできます。

高齢の親が自由にできる財産を信託財産に含めないことも可能ですが、親が死亡するとそれらは信託財産ではなく相続財産となり、遺産分割協議の対象となります。

.信託期間

信託期間は契約締結日を開始日となりますが、金融資産、不動産など信託財産の種類によって終了日が異なってくる場合があります。

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