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田中麗華の里親訪問 第1回

児童養護施設出身の田中麗華さんがキャスターとして、様々な形態の里親の方を訪ね、里親をめざす方々にとってのヒントや課題を見つける連載企画。

 

今回訪問した松本素子さんは茅ケ崎にお住まいで、2歳半から高校2年生まで、最近は月1回くらいのペースで週末里親をされています。たまたま里子の方も来られていたので、一緒に話をお聞きしました。

「 里親になろう」と思ったきっかけ、

Tくんとの出会い 

里親になろうと思われたきっかけは何ですか?

2000年頃、悲惨な児童虐待のニュースが異常に増えていることを感じ、同じ時期に「里親激減」という新聞記事を見て、無視できない気持ちになり、「何か自分にできることないか」と、児童相談所に電話をしてみました。

 

そうしたら、児童相談所の方が2.3名自宅に来ました。

まだ小さな実子2人を育てている最中だったこともあって、三日里親を紹介されました。

16年ほど前は、通常行われる長めの研修も子育て経験有だと短縮してくれました(夫婦参加は必須でしたが、主人は仕事のため、一日だけ実習を少なくしてくれました)。

主人は私の気持ちや思いを理解してくれました。

里親認定後1年くらい経って、12月頃に里子のT君と出会いました。

研修中の講義で印象的だったのは、子どもはみんな実親に良いイメージを持ちたいと思っているので、「実親のことは決して悪く言わないように」との注意を受けたことです。

里親と里子のマッチング、

子どもの意見は尊重されるのか

養育したい里子さんは選ぶことはできるのですか?

児童相談所が仲介役ですので、里親に「この年齢の子どもを委託できるか」は聞かれますが、できないと返事すれば、他の親にあたるという流れです。

 

予測なので本当のところはわかりませんが、子どもには年齢が小さいこともあって、一緒に暮らしたい里親について聞いているようには思いませんでした。里子に里親を選ぶ権利(意思表明)はあるはずですが、里親が少ないので、それができる環境になかったわけです。加えて、施設か里親かも選べない状況なのに​「里親を選ぶ」ことなど、とてもできる状況になかったと思います。

私たち夫婦は年齢・性別・障害の有無・緊急の一時保護など、どれも問いませんでしたので、施設でT君に会って、里親・里子の両者が了解したという過程だと思います。

里親になることを申し出たら、

誰でもすぐに里親になれるのですか?

里親制度の解説を読んでもらうとわかりますが、家族に犯罪者はいないかなどの審査があります。

また、審査に合格して里親認定されても、なかなか里親になれない方がいます。

 

児童相談所の考え方はよくわかりませんが、特に単身の方の場合、難しそうでした。でも、限定しない傾向はあると思います。

 

子どもと大人が1対1になって泊まるのは、他人同士ですし、大人が豹変(パワハラ)する可能性もあるので、慎重にすべきですし、マッチングは大事だと思います。

 

今の研修は、里親をする大人にとって、とても負担が大きいと聞いています。季節里親や週末里親のような里親よりも、もっとライト(日帰り里親のような軽い関わり)な里親もあっていいし、現在の里親制度をもっと利用しやすく改革すればいいという提案を5年前からしています。

長い研修を行うよりも、まずライト級を経験してから、ミドル級、ヘビー級に段階的に進むような仕組みです。

施設をでても繋がり続けたい。
その想いとは。

週末里親をどう思いますか?

高校を卒業すると、みんな施設を出ないといけない決まりだけど、本当に大変なのは施設を出た後。そのときに相談できる里親がいれば、とても安心できますね。

全く同感です。

施設にはいろんなボランティアの方が来てくれたり、クリスマス時期になるとたくさんプレゼントをもらったりしますが、子どもたちにとっては、「あぁ、誰か来てる」「今年ももらえた」って感じなんですよね。

それよりも、施設を出た後の大変さをわかっていただいて、サポートしてくれるといいなと思います。

​ちなみにTくんは週末里親についてどう思う?

とてもいいと思う。施設には里親のいる子と、いない子がいる。いる子は少しうらやましがられる。みんなにそれぞれ里親がいていいと思う。子どもの年齢は何歳からでも構わない。

受け入れ状態と

​里親さんへのケアについて

どこの施設でも、

週末里親や季節里親を受け入れているのですか?

そういうわけではないようです。この家庭体験事業は、施設が行政に申請する手続きが必要なので、施設職員の子どもへの熱意と心身の余裕がなければできないと思われます。里親への謝金も地域差があるようです

 

日本では週末里親や季節里親は里親の統計には含まれていないので、里親が少ないように見えますが、実態は必ずしもそうではないですね。

 

神奈川県では、季節里親の活動も換算すると約6割の子に里親がついていると児童相談所の所長が言っていました。いい制度なので、アフターケアを考えれば、全国的にもっと利用を増やしていくべきではないでしょうか。

週末里親や季節里親が増えていくにあたっての障害は何でしょうか?

施設の手間が大変なので、児童相談所や施設と里親の間に入ってサポートするNPOがあるといいのではないでしょうか。

 

ライト級やミドル級(季節里親)の里親があることを、まず広報し、どの子どもにも里親がつくような仕組みにしていけばいいと思います。

 

スムーズな運用をするには、NPOのような民間活動団体の存在は欠かせないと思います。

全国里親会という組織があると耳にしたことがあります!

私は神奈川県の下部組織である「湘南大和里親会」に所属していて、そこから会報が届いたり、里親里子が施設や児相職員と交流、参加できるレクリエーションのイベントの案内が来ます。

年会費はずっと6000円ですが、地域によってまちまちのようです。里親会が良い関係でいるには核になる里親さんの存在が大きいように感じます。また、適度な人数というのもあるように思います。顔の見える関係性ができるのは、20人以下が良いように思いますが、それも里親同士がお互い様の関係であれば、人数でも内容にも思いますし...

 

新しく里親になろうとする人には、不安もあるでしょうから、こういった組織に入り、先輩里親が相談相手になってくれる仕組みがあるといいと思います。

 

また、里親の活動をPTAの活動の中で紹介できるような場があると、里親になりたいと思う人がなりやすくなるではないでしょうか。

日本も批准している子どもの権利条約にしたがって、学校で子供への教育、親への啓蒙がなされることを願っています。

児童養護施設出身者からみる

「週末里親」の感想

施設で暮らしていると何となく、「あの子は本当の親じゃない大人と交流しているんだな」っというのを感じることがあります(呼び方はわからないけど、そういう関係があることを知っていました)。

​わたしには実の両親がいるので「週末里親」という選択肢を与えられなかったのだと思いますが、親のいない子や施設をでたあと、どうしても親を頼れない子たちにとって、松本さんのような週末里親の存在は後々大きな支えになるんじゃないかな〜と思いました。細く長く、じぶんを気にかけてくれる人がいることを知ることはとても大切だと思うからです。

短い期間でどれだけ信頼関係が築けるかにもよりますが、完全な「里親」の形ではなく、施設にいながら里親さんと交流ができる「週末里親」が、アフターケアの新しい形になるといいな〜と思いました。

​\ 里親さん、里子さんの声を集めています /

これから様々な形態の里親さんにインタビューをさせていただき、里親制度の啓発をしていきたいと思っております。「まずは知りたい」という気持ちがありますので、もしご協力してくださるかたがいらっしゃいましたら、下記メールアドレスまでご連絡いただけますと幸いです。

assystars@yahoo.co.jp

次回へつづく...

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