自然食宅配の魅力
自然食宅配はよくある有機野菜の宅配とどう違うのか
「自然な食べ物=自然食」を消費者に提供することに最大の価値を感じている生産者が増えています。
消費者としても、自然食を食べることが一つのライフスタイルになりつつあります。
里山を、澄んだ河の流れを、美しい海を、いつまでも大切にして、子どもの代、孫の代、ずっと将来まで自然を残したい。だからこそ自然食を食べる。そういう思いを持った人たちが増えているのではないでしょうか。
自然食を宅配で届けるビジネス形態を自然食宅配と呼びます。
ネットを通じて行うがゆえのいいところがいくつかあります。お客様に旬のものだけを作った分だけ届け、売切れたら終わりというビジネス形態となっています。
条件に合った生産者を選び、直接仕入れることで、品質を担保し、同時にそれぞれの生産者の想いを伝えます。
農作物の生産において、土がとても大切ですが、土は人間の腸とよく似ています。
土の中には目に見えない微生物がたくさんいて、人における腸内細菌の働きと同様に、微生物との共生によって植物がよく育つのです。
農薬や化学肥料に汚染されていない、健全な土作りをあたりまえと考え、その土を大切にするお百姓さんが旬の農作物を丹精こめてお世話することで、おいしい農作物が生まれます。
私たち消費者はその農作物をおかげ様でという感謝の気持ちをもっていただく(食べる)、そんな関係を大切にしたいと思います。
農薬や化学肥料についてはこんなふうに考えます。
化学肥料は、野菜を短期間で育てるためのサプリメントのようなもの。
野菜は、人の体と同じで様々なミネラル、酵素がなければ健康に育ちません。
偏った栄養だけで体格を良くしても、体質が損なわれれば病気になり、薬が必要になります。
多種多様な生き物がいる自然のバランスの取れた土作りをすると野菜も健康になり、薬はいらなくなってきます。
安全な食べ物を求めるというよりも、どれだけ自然のバランスが取れているかが大切だと思います。
自然とつながる食生活を求めていくと、自然と安全で健康な生活が出来るようになります。
有機やオーガニックは国の認定が無ければ使えない言葉ですが、国の基準では使っていい化学物質や化学肥料や、使っても量が少なければいいというものがあります。一定の安全基準を満たしていればいいからです。
しかし、安全基準を満たしていればいいという考え方は、いかがなものでしょうか。
有機の認証を得ているかどうかを取扱いの条件としない代わりに、 自然食宅配ではお客様の代わりに、はるかにきびしい目で判断しています。
自然食宅配では旬を大切にします。旬の農作物は栄養が豊富であり、温室などで旬以外の時期に提供される農作物はどうしても栄養分が劣るからです。
旬の農作物を余らないようにするために、複数の種類の野菜をセットしてお客様に提供します。
そのことが、「自然な食べ物」を作る農家の経営を助けることになります。生産者のわがままに思われるかもしれませんが、旬の農作物を存分に使った料理を消費者が工夫すればいい。そう思いませんか。
生産者の紹介では、なぜその生産者を選んだのかの視点で伝えます。
農協はA級品の安定供給、地域ブランドづくりによる、地域の農家の経営の安定を目指していて、自然な食べ物を作ろうとする農家は仲間はずれにされてきました。
仲間はずれになりつつも、自然食を作り続けてきた農家の想いを私たちは大切にしたいと思います。
「自然な食べ物」という考え方は、農作物だけでなく、畜産物や水産物、加工食品でも同様です。
商品選定基準をホームページに記載し、
畜産物では快適な環境で育てられたものであること、
魚はきれいな海で旬の時期に取れた天然魚を基本に、
加工食品においては無添加であることを追求し、主原料のチェックもきびしく行っています。
喜屋武さんに質問です。
Q1:このビジネスを始められた動機はいかがですか。
A1:最初はサラリーマンをしていたのですが、たまたま26歳のときに農業体験をしたときの農家が有機農法をされていたのがきっかけです。
自然を大切にする考え方に共鳴し、販売のお手伝いをしようと考えるようになりました。当時は一般の農家から仲間外れにされながら、農薬や化学肥料を使わないで頑張ってやっている農家と直接コミュニケーションを取って、仕入れルートの開拓を行ってきました。ゆうきネットのゆうきには「優しい気持ち=優気」の意味も含まれています。農家とお客様の優しい関係、自然への優しい気持ちを大切にしています。
もちろん最初からビジネスとして黒字だったわけではなく、2年くらいは夜間にコンビニの配送の仕事をするなどの苦労をしましたが、お客様が増えるにしたがい、何とか専業でやっていけるようになりました。
仕入れ先も当初は長野県とか遠方で、週1回仕入れにいく頻度だったのですが、近隣農家とのコミュニケーションを重ね、千葉県内にも仕入先を増やすことができ、仕入れ頻度が増えました。当時は生協も共同購入の時代だったのですが、ゆうきネットでは当初から自宅への配送の形で進めてきました。
Q2:クルベジという生産方式を推進されているそうですが。
A2:北総クルベジという名称で活動しています。
里山を放置したままにしていると、樹木の二酸化炭素の吸収力が弱まります。
CO2を吸収する健康な森を維持するためには、間伐や竹を伐ることが欠かせません。
里山の竹や間伐材を独自の方法で燃やして、柔らかくて細かい炭にして、提携農家の畑にまいて、いい土を作ります。
熾火(おきび)状態で水をかければ、柔らかい炭になり、いい土を作るための資材になるのです。
炭は、細かな穴が沢山あって有機物を吸着し、微生物のよい住処になり、微生物が安定的に育つことで、元気な野菜を育てることにつながります。
森林整備とCO2削減、よい土作り農業がつながった田畑で育てた野菜を、クールベジタブル(地球を冷やす野菜)=クルベジと呼んでいます。
ゆうきネットで扱っています。
クルベジを取り入れる農家の開拓も進めてきました。
有機農法はとても難しく、成功までに年数がかかる農法ですが、クルベジは初めて農業をされる方でも、今まで農薬を使っていた農地であっても、短い年数で有機栽培が可能になります。
私は里山の自然を、多くの種類の動物や昆虫が共生する田畑を、未来の子供たちに残していきたいと思っています。
炭作りを体験するイベントを続けてきましたが、皆さんもぜひお子さんと一緒に参加してみませんか。
都会の道端に花を植える際にも、里山で作った炭を活用してほしいと思って活動しています。
最近ではCO2排出量取引の対象としても注目されるようになりました。
Q3:農薬を使わないと、害虫や病気を防げないのではないですか?
A3:野菜には、それぞれ旬があります。季節に応じた栽培をすると、天敵が出てきたり、野菜も無理なく育つので病気にも強くなります。
いい土になると、土から栄養分を十分にとって健康になります。
そうするとさらに病虫害に負けない作物になっていきます。
ゆうきネットが取り扱う野菜では農薬を一切使っていません。
どうしても虫が多い季節は手間はかかりますが、ネットの使用により害虫を防ぐことは行っています。
(果物に関しては、お酢や油など自然由来のものを防除として使う場合があります。)
Q4:化学肥料を使わなくても、おいしい農作物ができるのでしょうか?
A4::農作物の多くは、自分で栄養を根から吸収するだけでなく、土の色々な微生物と共生して根の届かないところにある栄養を運んでもらっています。
光合成により生産した糖分の一部を、根から土の中の微生物に提供することで、ミネラル分などの栄養分をもらうことができ、植物が健康になります。
窒素、リン酸、カリウムを主体とする化学肥料に頼ってしまうことは、その関係を阻害する一面があります。有機肥料は適度な量を使用して、いい土ができるようにしています。